視覚優位のお子様の支援
- こども発達支援教室アクア
- 2023年2月4日
- 読了時間: 3分
伊勢原市で発達障害のあるお子様に個別療育を提供している児童発達支援・放課後等デイサービス、こども発達支援教室アクアです。今回は視覚優位のお子様に対する支援についてのお話です。
発達障害のこども達の中には視覚優位と言われる子たちが比較的に多いです。 これらのお子様たち子たちは耳から入る情報、特に言葉に対しての反応が鈍いので、日常生活や集団生活をスムーズにこなすにはスケジュール表や写真、イラストといった視覚的なヒントが欠かせません。 では、どうして視覚優位なのでしょうか?
実は人間というのは、生まれた当初は基本的に他の動物と同じで視覚優位なのです。それが2歳くらいまでに聴覚優位に変化して言葉(音声言語)の世界を意識するようになります。 つまり、大きくなっても視覚優位な子たちというのは、この切り替えが上手く出来なかった、あるいは一度は切り替わったけれど、言葉の世界に上手く入れず、再び視覚優位の世界に戻ってしまった子たちなのです。 私たちの社会は言葉(音声言語)が前提で出来上がっている世界です。対人関係は絶えず言葉のやり取りをすることで維持されています。
音声言語以外でも聴覚障害者が使う手話(サイン)がありますが、あくまで特定のコミュニティ内でしか通じないローカルなものです。言葉(音声言語)が分からない、もしくは音声言語に対する反応が鈍い子どもは、その分、社会参加を制限されることになります。
視覚優位の子どもでも常に合理的配慮を受けられれば良いのですが、日本社会では必ずしも配慮が得られる訳ではありません。以前、マクドナルドは自閉症の従業員向けに視覚的な手がかりなどの配慮をしていましたが、社会全体を見たときにどのくらいの企業がそこまでしてくれるのか非常に疑問です。
それでも、学生の間は保護者様やお子様ご本人が合理的配慮の必要性を学校に対してきちんと主張することで必要な支援が得られる可能性はあります(それでもスムーズには行きません。残念ながら多くの保護者様は戦うことで疲弊しながら当たり前の権利を勝ち取っています)。
しかし、将来的に勤務先で同僚と人間関係の問題が生じた時に、これを要求して叶えられるかどうかはその集団の性質次第、つまりは運次第です。そう考えると、(聴覚や発声機能といった身体機能的な限界が無いことが前提ですが)本人にとって苦手なことをやらされてしんどいとしても、出来るだけ音声言語で理解し、表現する努力をする方がお子様の選択肢を広げることに繋がるかもしれません。
とはいえ、就学前から低学年まではある程度の訓練効果が見られるものの、10歳頃からは難しくなってきます。
訓練開始が10歳過ぎでは手遅れかと言われれば、必ずしもそうとは言えませんが、家族が自分たちの生活を子どもの訓練中心に変える覚悟が必要になる上に、訓練をやりたくない子どもとの関係を悪くする可能性もあるので、子どもと自分たちにとって最良の目標が何かをよくよく検討して、他の選択肢についても考えた方が良いでしょう。
最近ではスマホのアプリを活用して会話を録音しておいて文字起こしをした上で見直したりする工夫をしている当事者の方や、最初からLINEでのコミュニケーションを相手にお願いする当事者の方もいます。結局は周囲の理解も必要になりますし、それなりに時間や手間は掛かりますが、これらは現実的な代替手段かもしれません。
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