フラッシュカード(絵カード)
- こども発達支援教室アクア
- 2023年2月4日
- 読了時間: 3分
伊勢原市で発達障害のあるお子様に個別療育を提供している児童発達支援・放課後等デイサービス、こども発達支援教室アクアです。今回はフラッシュカード(絵カード)についてのお話です。
某幼児教室の代名詞ともいえる学習法のフラッシュカード。 子どもの目の前で単語やイラストの書かれたカードを次々と高速で大量に提示し続けて、右脳で覚えさせるという学習法です。この学習法はフォロワーも沢山いて、放課後等デイサービスの中にも積極的に行なっている施設もあります。 これを実際に指導していた人に話を聞くと、確かに短期間に大量の知識を覚えてくれるらしいです。
しかし、某幼児教室の関係者が書いたものを除いて、その有効性を確かめる真っ当な研究論文は見当たりません。ふと興味を抱いて探してみましたが、少なくとも日本には無い。そもそもまともな研究対象として扱われていないのです。
海外の文献は英語力の問題もあって直接確認は出来ませんでしたが、同じように調べた人の記事を読んだ限りでは存在しないとのことでした。逆に、その危険性を証明した論文が2つだけあったとか。 ちなみに、「ホンマでっか!? TV」の出演者である脳科学者の澤口先生の著作にも同じようなことが書かれており、フラッシュカードが人為的に発達障害に似た状態を作り出している!とまで主張していました。(※溝口先生が考案した発達障害児の療育訓練も相当にアレですが…)
いろいろな情報を総合すると、どうやらフラッシュカードの提示の仕方は長時間テレビを見せられ続けている状態と一緒で、一方的に大量の情報を流し込まれることで、子どもが総じて受け身になってしまい、能動的に外界を知ろう、覚えよう、といった興味や意欲を減退させ、一種のコミュケーション障害のような状態にさせてしまうのだと考えられます。元々知的な能力が高かったり、好奇心の強いお子様であればそうした問題は起き難いでしょう。
上記の内容は間接的に見聞きした情報による推論であり、私自身が直接に確認した訳ではありませんが、有効性が立証されておらず、むしろ危険性が指摘されているというだけでも、実際に子どもに対して行うのは控えるべきではないでしょうか。
道具としてのフラッシュカードに類するものは私たちの教室でもよく使います。しかし、次々に大量のカードを提示するやり方ではなく、ただの絵カードとして使用しており、覚えるように指示した上で一瞬だけ表面を見せ、1~3秒で裏返し、覚えた内容を口頭や書面で再現してもらうといった方法です。あくまで能動的に記憶するために使っています。
この方法は子どもに覚えようという意欲が無いと難しいのですが、学習に役立つ記憶法というのは、結局は能動的に鍛えることしかないといのが経験上の結論です。そこに至るためには機械的に覚えさせようとするのではなく、好奇心を刺激することが重要であり、その辺りが療育担当者の腕の見せ所かもしれません。
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